[貨車の記号]

日本貨物鉄道および各旅客鉄道の貨車の称号は国鉄(日本国有鉄道)から引き継いだ貨車と民営化後に登場した貨車とで若干異なります。



国鉄から引き継いだ貨車(私有貨車を含む)は、「記号」+「番号」で構成される称号を持っています。

(例)ワム280657

記号はカタカナで、
「構造または用途を表す記号」(例ではワ)、「標記荷重を表す記号」(例ではム)、「緩急車記号」(例には付いていません)
の順に並んでいます。
さらに記号の前または後ろに小さなカタカナで「符号」(例では最初のハ)が標記されることがあります。



民営化後の新形式貨車は、「記号+形式番号+(ハイフン)+製造順を表す番号」のように変わりました。

(例)コキ104−5



1.記号

a.構造または用途を表す記号

(現存しない車種もあります : 記号の後の#印は国鉄民営化時に消滅した車種)

(有がい貨車)
有がい車
鉄側有がい車      昭和46年度車種消滅
鉄製有がい車 #
車運車(旧) 昭和40年消滅(無がい貨車の車運車とは別物)
冷蔵車 #
通風車 昭和60年度車種消滅
家畜車     昭和52年度車種消滅
豚積車     昭和49年度車種消滅
家禽車     昭和34年度車種消滅
活魚車 昭和43年度車種消滅
陶器車    #

(タンク貨車)
タンク車       
水運車 #                     

(無がい貨車)
無がい車       
土運車 昭和60年車種消滅
長物車
大物車
車運車 昭和40年までは大物車「シ」に含まれていた 
(有がい貨車の車運車が「ク」であったため)

(コンテナ貨車)
コンテナ車       昭和40年に区分
(それまでは長物車として取扱い)      

(ホッパ貨車)
ホッパ車        昭和28年に区分              
石炭車

(事業用貨車)
車掌車
雪かき車 民営化後消滅(平成5年度)
検重車 昭和40年までは「コ」を使用
試験車・職用車     昭和28年に新設(客車から編入)
工作車 昭和28年に新設(客車から編入)、     
昭和40年代に消滅
救援車 昭和28年に新設(客車から編入)、     
昭和40年代に消滅
操重車
控車

 

b.荷重を表す記号
荷重トン数 13t以下    無記号
14〜16t  ム
17〜19t  ラ
20〜24t  サ
25t以上  キ

 

c.緩急車記号

緩急車には上記各記号に続けて「フ」をつける。(例.コキフ)
緩急車とは事業用貨車以外の貨車で手ブレーキと車掌弁のある車掌室付きの車両のこと。

有がい緩急車、冷蔵緩急車、無がい緩急車、コンテナ緩急車、石炭緩急車が存在した。



2.番号

(国鉄型貨車)
6桁以内の数字で表す。貨車の形式番号はその形式で最初に製造されたものの番号と一致する。
同一形式での番号は必ずしも連続しておらず、1999の次が11900であったりする。

(民営化後の新形式)
型式番号と製造順番号が分離された。製造順番号は原則として1から順に付与されるが、同形式ながら仕様が異なるなどの理由できりの良い適当な数からの番号を使い分ける、いわゆる番台分けも行われる。



3.符号

符号とは貨車運用上の必要のため記号の前または後に小さく標記される補助記号である。
(符号) (対象車種) (標記例)
タンク体がアルミニウム製のタンク車 ア「タム」
自重が軽いため2t増積みできるワム
(標記トン数が17t及び15tと併記してある)
=ワム1900、2000、50000
*昭和40年代まで?
オ「ワム」
標記荷重36tのトキ オ「トキ」
最大長さ16mをこえるタンク車 オ「タサ」
最大長さ1mをこえるホッパ車 オ「ホキ」
「急行」の標記をした2軸有がい車
*昭和43年まで?
キ「ワム」
石炭15t分の容積で荷重17tのトラ
(標記トン数が17t及び15tと併記してある)
コ「トラ」
最大長さ12m以下のタサ、タキ コ「タキ」
石炭15t分の容積で荷重18tのトラ
(標記トン数が18t及び15tと併記してある)
ス「トラ」
天井に氷タンクのある冷蔵車 「レ」テ
氷タンクのない冷蔵車 「レ」ナ
延長換算両数1.2のワム ハ「ワム」
最高速度が65km/h以下の貨車
*昭和43年から
ロ「セラ」
シートをかけて有がい車代用にできる無がい車
*昭和40年代まで?
ワ「トラ」
有がい車兼用の通風車及び家畜車 「ツ」ワ


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